●タイスの瞑想曲
マスネ・作曲
演奏・澤和樹(ヴァイオリン)
蓼沼恵美手(ピアソ)
マスネの作った、アナトール・フランス原作の歌劇〈タイス〉の第2幕で、第1場と第2場のあいだに漬奏される閻奏曲がこれで、〈宗教的瞑想曲〉と題されてヴァイオリンによっ て旋律がうたわれるため、独奏曲として演奏される機会の多い曲です。オペラの中ではオーケストラで演奏される抒情的な、そ して、感傷的な音楽です。また、マスネの特色を最高度に発揮した音楽として有名になり、ヴァイオリン独奏用にも編曲されて、ポ ピュラーになった作品です。なんとなくよわよわしいにもかかわらずメロディーに美しさが感じられるなど、独特の魅力に富んでいるあたりが、この曲の人気を保っている大きな理由なのでしょう。
●ゆりかごの歌
草川信・作曲:伊藤幹翁・編曲
演奏・レディース・オーケストラ・ジャパン
オリジナルは、北原白秋による詩で“かなりや"“びわの実"“木ねずみ"“黄色い月"といったハイカラでやわらかい言葉をちり ばめ、〈ゆりかご〉を中心に、赤ちゃんへのやさしさをこめた美しいイメージを描きだしています。曲は幼い日への思い出につなが るような、たいへんゆったりとした二拍子の一種の手守唄であり、短くてやさしいため幼稚園や保膏園で、今でもよく歌われてい ます。草川信のメロディが余りにも有名ですが、中山晋平もこの詞に曲をつけています。
●シューベルトのアヴェ・マリア
シューベルトー作曲/藤原豊・編曲
演奏・レディース・オーケストラ・ジャパン
指揮・ロメリー・プント
ウォルター・スコットの代表作「湖上の美人」の中から主人公エレンがほとりの岩から、聖母マリアに父親の罪を許して欲しいと願 いをかけている様子を歌った曲です。シューベルトが28歳の時に作曲した歌曲で、発表した当時から多くの人に愛された曲であったそうです。
        
●ノクターン第2番
ショパン・作曲
演奏・リューポフ・チモフェーエワ(ピアノ)
ノクターンとは、夜想曲というその邦訳からも連想されるように、優雅で抒情的な性格の音楽です。そして、1831年に作曲され たこの「ノクターン第2番」は、その繊細で洗練された情緒がこよなく魅力的な作品で、映画「愛情物語」に使われたこともあって、 ショパンのノクターンのなかでも最も人気のあるものの1つとなっています。
        
●G線上のアリア
J.S.バッハ・作曲
演奏・澤和樹(ヴァイオリン)
蓼沼恵美子(ピアノ)
〈アリア〉とは、イタリア語で〈歌〉という意昧ですが、器楽のばあいには、歌のように流れる美しいメロディーをもった曲のときに も使われます。バッハは、弦楽合奏用の管弦楽組曲を4曲使っていますが、その中でも有名なのが<第3番・二長調〉であり、なか でも特に親しまれているのがこのアリアのある〈第2楽章〉です。宗教的ともいうような荘重で、優美なふしまわしは、のちに、ド イツの名ヴァイオリニスト、ウィルヘルミ(1845〜1908)が、ヴァイオリン独奏用として、G線(いちばん低い糸)だけで演奏するように 編曲し、〈G線上のアリア〉と名をつけて以来、いっそう有名になりました。
●シューベルトの子守歌
シューベルト・作曲/藤原豊・編曲
演奏・レディース・オーケストラ・ジャパン
指揮・三矢幸子
わたしたち日本人は、子守歌というと、あかちゃんを寝かしつけるための歌、と考えていますが、外国では、子どものお守りをし ながら歌う歌から、さらに、音楽会で歌われるような、芸術的にもりっぱに形の整った歌曲にまで、高められた作品もあります。古く から、多くの有名な作曲家が、美しい子守歌を作っていますが、なかでも、シューベルトがわずか19歳の折に作った〈子守歌〉ほど、 母親の優しさと、暖かい愛情がにじみでている感じのする子守歌はありません。わずか30歳という短い一生に、宝石よりも美し い600曲あまりの優れた名曲を残し、〈歌曲の王〉と称えられるシューベルトの作品の中にあっても、とくにこの曲の人気が高いの も、理解できるような気がします。
●ラルゴ(オンブラ・マイ・フ)
ヘンデル・作曲/藤原豊・編曲
演奏・レディース・オーケストラ・ジャパン
指揮・ロメリー・プント
洋酒のCF曲としてすっかり有名になった歌曲ですが、原曲はドイツ・バロック音楽の権威ヘンデル(1685〜1759)が作曲した 歌劇「セルセ」の第1幕で、主人公のペルシャ王セルセがプラタナスの木蔭に憩いながら歌うテノールのアリアです。その高貴な 気品のある雰囲気が愛されて独立歌曲として声の高低にかかわらず歌われるようになり、また器楽曲と管弦楽用に編曲されて「ヘ ンデルのラルゴ」として親しまれています。演奏・澤和樹(ヴァイオリン)蓼沼恵美手(ピアノ)
●愛のあいさつ
エルガー・作曲
エルガーがイギリスの管弦楽曲を初めて世界的にした作曲家ですが、9歳年長のカロライン・アリスと周囲の猛反対を押し切っ て結婚しました。この曲は結婚した1889年の作曲で、カロライン夫人に献呈されていますから、結婚記念の贈り物なのでしょう。
        
●歌の翼に
メンデルスゾーン・作曲
演奏・小出信也(フルート)、篠崎史子(ハープ)
この曲は、ハイネの詩に作曲した歌曲と して有名です。いたってロマンティックな美しいメロディーが、たいへん人びとに愛好され、ピアノ独奏用、ヴァイオリン独奏用にも 編曲され、さらに人気を得た作品です。メンデルスゾーン、25歳のときの作品です。
        
●主よ、人の望みの喜びよ
J.S.バッハ・作曲/マイラ・ヘス・編曲
演奏・熊本マリ(ピアノ)
クラシック音楽の基礎をつくったということから、“音楽の父"といわれるバッハ。教会の指揮者やオルガン奏者を長くつとめた ため、教会に関係した作品をた<さんかきました。なかでも“教会カンタータ"という礼拝のときに用いられる一種の説教音楽 は200曲もあります。
この曲も「教会カンタータ第147番」《心と口と行いと命もて》の最後で歌われる讃美歌です。ここでは、イギリスの女流ピ アニスト、マイラ・ヘスによる編曲版を収録しています。
●小犬のワルツ
ショパン・作曲
演奏・リューボフ・チモフェーエワ(ピアノ)
−小犬が自分の尻尾を追いかけてくるくるとまわっているのを見た友だちから頼まれてショパン(1810〜1849)が早速ピ アノに向かって弾いたのがこの曲−こんなエピソードのある曲ですが、まさしく小犬がめまぐるしくまわっているような感じですね。欧米では“1分ワルツ"とも呼ばれてい るそうですが1分で弾かれては目がまわってしまいそうです。
●美しいロスマりン
クライスラー・作曲/青島広志・編曲
演奏・P.ロピンソン(フルート)
指揮・浅妻文樹
ロスマリンとは“ローズマリー"という花のこと、甘い香りのするかれんなロスマリンはまた、かわいらしい少女の愛称でもあります。 ヴァイオリンの名手として知られたウィーン子、クライスラーが書いたこの作品は、軽くとびはねるようなメロディーで、くもりのない明 るく楽しげな雰囲気を茶目っけをこめて描きます。しゃれたムードの音楽にかけては一流だったクライスラーの魎力的な小品です。
●アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク
モーツァルト・作曲
演奏・レディース・オーケストラ・ジャパン
指揮・ロメリー・プント
交響曲からオペラまで、ありとあらゆるジャンルの作品を作ったモーツァルトですが、その中でも最も親しまれているのが「アイネ・ クライネ・ナハト・ムジーク」でしょう。『小さな夜の音楽」、つまり「小セレナード」という意昧を持っています。親しみやすく美しい メロディで奏でられる曲は、一度聴けば忘れられないでしょう。全体は4楽章で出来ていますが、ここではその第1楽章が演奏されています。
●愛の喜び
クライスラー・作曲
演奏・澤和樹(ヴァイオリン)
蓼沼恵美子(ピアノ)
ウィーン生まれのクライスラーは、20世紀前半の最大のヴァイオリニストといわれた人で、同時に、ヴァイオリン独奏用の小品を数 多<作りました。〈愛の喜び〉は、ウィーンに古くから伝わる民謡をもとに書かれた作品で、やはり、ウィーンの古い舞曲のレントラーの 形式によっています。同じ作曲者による<愛の悲しみ〉と、コントラストをなす作品です。
●トロイメライ
シューマン・作曲
演奏・ヤン・パネンカ(ピァノ)
ドイツのロマン派を代表する作曲家ロベルト・シューマンが1838年に作曲したピアノ曲で、「子供の情景」というピアノ組曲に 収められています。「トロイメライ」はドイツ語で“夢みる心地"といった意味で、少年の夢想の気持を表現しています。
●モーツァルトのメヌエット
モーツァルト・作曲
演奏・レディース・オーケストラ・ジャパン
指揮・ロメリー・プント
モーツァルトの書いた<ディヴェルティメント〉のひとつです。ディヴェルティメントは、主として貴族や、金持ちのための娯楽音楽で、 室内の食事の折に演奏されることが多かったようです。そのためか楽想も屈託のない明るいもので、編曲もごく少数でした。ふつ うの楽章からなり、その第3、または、第5章にメヌエットがおかれているのが一般の形でした。このディヴェルティメントは、大富豪 ロビニッヒの注文に応じて書かれたもの、と伝えられています。なお、このメヌエットは第3楽章です。
●眠りの精
プラームス・作曲/甲田潤・編曲
演奏・レディース・オーケストラ・ジャパン
指揮・三矢幸子
ドイツ語の原題は「砂男」とか「砂の小人」の意味です。子供の眼に砂をふりまいて眠らせる小人の伝説によった民謡です。恩人 シューマンの遺された子供たちのために作ったドイツ民謡にピアノ伴奏をつけた「子供のためのドイツ民謡集」に採用して、すっか り有名になりました。
●春の歌
メンデルスゾーン・作曲
演奏・ヤン・ホラーク(ピアノ)
メンデルスゾーンは、歌曲ふうな旋律と、伴奏ふうな音型で綴られた美しい曲の〈無言歌〉を、49曲も作曲しています。作品62 の6曲中の6曲目がこの作品で、一般に〈春の歌〉として知られています。この表題は彼の友人が後につけたもので、描写というよ りは内面的な感情の表現が主体となっているようです。流れるようなのどかなメロディー、聞き手を楽しい気分に誘う美しい抒情にあ ふれており、単純な形式の中にも、装飾音符を使った伴奏などにより美しい効果を挙げています。
●パッヘルベルのカノン
パッヘルベル・作曲
演奏・ルツェルン祝祭弦楽合奏団
指揮・ルドルフ・バウムガルトナー
J.S.バッハやヘンデルより少し前の時代のドイツ・バロックの巨匠ヨハン・パッヘルベル(1653〜1706)の代表作。完全な楽譜 は残されておらず、種々なアレンジで演奏されています。
●ブラームスのワルツ
ブラームス・作曲
演奏・角聖子(ピアノ)
ブラームスがウィーンで活躍したころは、 あの〈ワルツ王〉といわれるシュトラウスの全盛時代でした。しかも、ふたりは親友だったのです。その影響を受けたのでしょうか、 ブラームスも52歳の折、四手のピアノのためのワルツを16曲作りました。連弾用の作品です。これらはさすがにブラームスだけ あって、シュトラウスのものとは、ひと味ちがい、彼独特のひびきをもっている作品です。
「騒音」とじょうずにつき合う法
1日の仕事を終えてプライヴェートな時間を楽しもうと思っても、周囲の「ソーオン」 がどうにも気になってしまうという経験は誰にでもあるものです。ここで「ソーオン」と カタカナで書いて、漢字で書かなかったのは、ひとくちに「ソーオン」といっても、2種類 の「ソーオン」があるからです。
ひとつは一般に「噪音」と書かれるもので、「楽音」の反対語。この「楽音」が普通の楽器 の音のように規則正しく、一定の周期をもった振動が継続する音であるのに対して、 「噪音」は不規則な振動や雑多な種類の振動が同時に起こる場合の音のこと。最近では 「非楽音」と呼ばれることもあります。
「噪音」の代表的なものにFMチューナーの局間で聞かれる「サーツ」というホワイト・ ノイズがありますが、これは人の耳に聞こえる範囲内のあらゆる周波数の音が同時に鳴っ て、しかもそれぞれが同じ強さで聞こえている時の音です。あらゆる周波数の光が同じ強 さでまじると白い光になるのをもじって、こういう名前がつけられたのです。 もうひとつのほうの「ソーオン」は「騒音」と書かれるもので、いってみれば個人的に「好 ましくない音」。これと「楽音」の違いは、相対的なもので、実際にはどちらに属するのか 分からない場合も少なくありません。
ある人にとっては「楽音」であっても、他の人にとっては「騒音」であることもしばし ば起こります。つまり、近隣住民の生活を妨害したり、作業能率を低下させるような音が 「騒音」で、強烈であったり、不快であったりする音と考えることができます。極端な話、 演奏家が奏でる妙なる音楽も、人によっては「騒音」と受け止められてしまうわけで、非常 に微妙な問題を含んでいて、始末におえません。
幸い人の感覚器官は、周囲の刺激に関して馴化する働きを持っているので、最初は「騒 音」に思えていても、いつのまにか気にならなくなるものです。しかし、ゆっくりくつろ ぎたいような時にかぎって、「騒音」が気になり始めるのも事実。また、いったん気になり だすと、そちらのほうばかりに注意が向かうことも少なくありません。 そんな時には音楽の助けを借りて、もう一度ゆったりした気分をとり戻すのがいちばん。 美しい音楽を耳にすると、しだいに気持ちがリラックスしてきて、いつのまにか「騒音」 も気にならなくなってくるはず。また、ヘッドフォンなどを利用すれぱ、音の侵入を防ぐ マスキング効果も期待できます。
音楽を聴いて心を静めるコツは、いきなりリラックスできる音楽を聴くのではなく、ま ずはその時の気分や精神状態に合った音楽を聴くこと。つまり、イライラした気持ちでい る時にはあえてイライラに同調する音楽を、憂鬱な気分の時はメランコリックな音楽を、 まず耳にしてみるわけです。そのうえで、今度は精神を安定させ、リラックスさせる音楽 を聴くというステップを踏みます。こうしたほうが、いきなりリラックスできる音楽を聴 くよりも、心を安定させる効果が大きいのです。
音楽の「楽」は、楽しいの「楽」でもあります。紀元前7世紀頃の中国古代の詩を編纂 した『詩経』という書物にはすでにこの2通りの意味が、「楽」という文字にあてられてい て、他にも「病気などを治す」という意味でも用いられているそうです。こうしたことか ら、「楽」という文字は「憂いのない状態」「こころが癒された状態」を表しているものと 考えられます。したがって、当時の人々にとって音楽は魂の生命力を回復させる手段のひと つに他なりませんでした。
これは最近注目されている「音楽療法」や「サウンド・ヘルス」の考え方とよく似ていま す。つまり、いずれの場合も、精神や肉体の活力を取り戻すのに、音楽を聴いたり、演奏 するのが大いに役立つと考えているのです。風、光、気温、地球の自転など、自然界の 現象を観察すると、そこには常に微妙な変化や動きが生じていますが、こうした変化のこ とを「ゆらぎ」といいます。
同じように人間の体内にも、微妙なゆらぎが生じていて、脈拍や脳波、呼吸などのリズ ムも微妙に変化しています。
こうしたゆらぎを分析し、パワーと周波数の関係で表すと次の3タイプに分類できるこ とがわかりました。
●1/f°ゆらぎ
ピアノをでたらめに叩いたような状態に近いゆらぎ。
●1/fゆらぎ
生体が保有している体内固有のリズム。意外性と期待性を適度に合わせ持つ。
●1/f2ゆらぎ
次に何がくるのか予想しやすく、退屈してしまう。
1/f°ゆらぎは危険を知らせるものであり、1/f2ゆらぎは安全を知らせるものと考える こともできます。その中間に位置する1/fゆらぎは、両者の特性をあわせもち、適度な緊 張と安定をもたらし、人間にとっても心地よい影響を与えます。もっと具体的にいうと、 目や耳から入ってくる情報が1/fゆらぎになると、脳波はα波になり、瞑想状態にある時の 脳の状態に近づくのです。クラシックの名曲と呼ばれる作品のほとんどは、この1/fゆら ぎを持っていて、心に快楽をもたらしてくれるのです。
実際、適切な音楽を聴くことによって、血圧が下がったり、脈拍、呼吸が安定してくる という実験も行われています。一日の疲れを取り除き、ストレスを解消するために、この 音楽の持つ効果を利用しない手はありません。
音楽をストレス解消に利用する時の原則は、まずはその時の気分や精神状態に合った音楽 を聴くことだそうです。つまり、イライラした気持ちでいる時には、あえてイライラに同 調する音楽をまず耳にしてみるわけです。そのうえで、今度は精神を安定させ、リラック スさせる音楽を聴くというステップを踏むのです。こうしたほうが、いきなりリラックス できる音楽を聴くよりも、心を安定させる効果が大。ただし、現在の気分に同調する音楽 は1曲程度にとどめ、あまり長く聴かないようにします。