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◆目 次◆
1) 「言霊」の国。            
        http://www.e-shodoshima.com/

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆2007年12月号☆☆☆

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┃1 ┃ 「言霊」の国。                            ┃
┗━┛━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 日本は「言霊の国」だと言われています。
戦争についてを毎日連載していますが、その事についても言霊は影響しているよう
です。今月はその事例を取り上げてみましょう。例によって井沢元彦先生の著から。

『実は「コトダマの世界」というのは、とんでもない世界なのだ。一番重要なことは、
この世界では冒頭でも述べたように真のそれも言論の自由はない、ということなので
ある。
なぜそうなるかと言うと、コトダマの世界では「言えば実現する」のだから。発言者
はその意見の内容が実現することを望んでいると多くの人間に受け取られることにな
る。
具体的に言えば、ハイジャックの際に「人質に死者が出てもやむを得ない」と発言す
ると、
「アイツは人質の死を望んでいるんだ」
と受け取られてしまうのである。
もっと深刻な例を言うと、昭和十五、六年頃に、「このままアメリカと戦争すれば負
けるからやめろ」と言えたかどうか、という問題だ。
この意見が正しかったことは、昭和二十年の敗戦という歴史的事実が証明している。
また、正しいにもかかわらずこの意見が口にできなかったことも歴史的事実である。
ただ、それは軍部の弾圧のせいだ、というのは必ずしも正しくない。確かに当時の軍
部が強力な言論統制をしたことは事実だが、調べてみると実はそれ以前からそんな意
見は口にできなくなっていたのだ。
 それはコトダマの世界では、理由・動機の如何を問わず「アメリカに負ける」と言
えば、それは
 「アイツはアメリカに負けることを望んでいるヤツだ」
つまり
 「非国民だ」
ということになってしまうからだ。
 たとえばプロの軍人が、つまり戦争の専門家が公平にデータを検討した結果、
 「アメリカに負ける」
という結論が出たとする。普通の民主主義国なら、それは一つの意見(見解)として採
り上げられ討論の対象になる。それに対する反論がなされ、その反論に対する反論も
行なわれ、どちらが妥当な結論かが段々と明らかになってくる。
 ところが日本では、軍部の弾圧の無かった時期でも、こうならないのである。愛国
者であれなんであれ、とにかく「アメリカに負ける」という結論を出せば、
 「アイツは非国民だ」
ということになる。社会的に非難される。それでも意見を発表するならまだいい。
日本人はコトダマは自覚していなくても、こういう意見を発表すると世論がどう反応
するかを熟知している。社会的反撥をかうだけだということを、である。だから本当
に
 「アメリカの実力」
を知っている人間が発言しなくなる。対アメリカだけではない、当時の軍部にソビエ
トに対する行動は慎重にという高級軍人や参謀もいないではなかったが、そういう人
々は
 「恐露病(ロシア恐怖症)」
のレッテルを貼られ左遷されてしまう。
 「ロシア(ソビエト)軍の実力はすごい」
という事実を口にすると、
 「アイツはロシアが強くなることを望んでいるんだ」
ととられるということだ。
 その結果、威勢のいい意見(?)を持つ連中、たとえば「日本は必ず勝つ」というよ
うな意見を持つ連中だけが軍部の中枢を占め、戦争を始める。
 そして国土は焼野原になり何百万人も死んだ挙句に、「実はこういう結果になるこ
とは昭和十年代前半にわかっていた」という、世界のどこの国の歴史にもない、極め
て愚かな結果になる。
 これは決して昔の話ではない。
 いまでも同じようなことは、次々と起こっている。
コトダマというものを自覚しない限り、わけもわからず振り回される状態は永遠に続
くのである。
 現代にもコトダマが生きている例を二、三挙げようか。
 日本人は「契約」というものが下手だという世界的な定評がある。
これは西洋や中近東の人々と比べてだけではなく、同じアジアの中で中国人や韓国人
に比べても下手である。
 なぜ、そうなのか。
 それは、日本人の性質の中に、その原因があると考えるのが自然である。もし中国、
韓国、日本の三国の人々すべてが契約下手なら「儒教」のせいということも考えられ
るが、東アジアの中でも日本だけが下手なのだから、やはりそれは日本人固有の特質
に基づく理由があると考えた方がいいだろう。
こう言えば、もうおわかりと思うが、つまり、これもコトダマが原因なのである。
 (中略)
日本人が日本人同士と契約する場合と外国人(アジア人も含む)と契約する場合、一番
違うのはどこか。
 それは契約書の分厚さである。
ある学者が外国の雑誌に寄稿したところ、折り返し送られて来た掲載に関する契約書
の方が、送った原稿よりもはるかに分厚くて驚いたという。日本の契約書なら、少な
くとも一般人が交わすものなら、こんなことはまず有り得ない。不動産契約にしても
出版契約にしても、下手をするとペラペラの一枚の紙で済んでしまう。
なぜ、そうなるのか。あるいは、外国の契約書はなぜそうならないのか?
日本の契約書には、外国の契約書には無い「誠意条項」というものがある。
何も難しい条項ではない。簡単に言えば
 「契約に関して何かトラブルが起きた際は、双方誠意をもって処理する」
という条項のことだ。しかし、これを見ると外国人は笑うか不思議がる。トラブルが
起きた際に、「双方が誠意をもって処理する」保証がどこにあるのか? トラブルとい
うのは、双方が対立した時に起こるものである。敵意や憎悪の中で「誠意」が保たれ
るはずはない−外国人はこのように考える。
 理屈で考えれば、その通りである。
 (中略)
 日本は「和の世界」でもあるからだ。「和」を保つために「話し合い」をすること
をいとわない。ケンカはできるだけ避ける。だからこそ、こういう条項も、日本人同
士ならば実効性はある。
 しかし、これは日本の契約書が薄いことの説明にはなっても、ではなぜ外国の契約
書は分厚いのかという説明にはならない。
 外国の契約書はなぜ分厚いのか、ということを考える有力なヒントがある。
 それは、日本のビジネスマンや企業が、海外で契約を交わす際に起こす、典型的な
ミスでもある。
 それは実は「ペナルティ(罰則)」の付け忘れなのだ。
 たとえば日本人企業家が外国人を現地で雇う際に、その従業員が仕事をサボったり
会社に損害を与えたりする可能性もあるということを、まず考えない。だから「不良
社員」にいいようにやられた挙句、罰則規定がなくて外国人弁護士に笑われるという
ことにもなる。
 つまり、こういうことだ。
 外国の契約書が分厚いのは、日本人のように「誠意条項」に頼らずに、あらゆるト
ラブルの可能性を指摘し、その場合の対策まで書き出してあるからなのである。
 たとえば、建設中のプラントの所在地が戦場になったらどうするか?パイプラインが
爆発したら、とりあえずどちらの責任で修理するか?従業員が死んだら誰が補償金を出
すか?等々、考えられるトラブルをすべて具体的に書いていけば、分厚い契約書になら
ざるを得ない。
 と、ここまで書けば、なぜ日本の契約書は薄っぺらになってしまうのか、あるいは、
やり手のビジネスマンがペナルティの付け忘れなどという、契約社会では初歩的なミス
を犯すのかこの謎も賢明なる読者には、理解できるはずである。
 これもコトダマなのだ。
 つまりコトダマの世界では、縁起の悪いこと、不吉なこと、起こって欲しくないこと
は、できるだけ言及しないで済まそうという意識が働く。
「パイプラインが爆発した場合は」などと書くと、そう書くことによって(つまりこれ
もコトアゲの一種)本当にそんな事態が起こりそうな気がしてしまう。
 だから無意識のうちに、そういう「想定」を排除してしまう。問題はそれがコトダマ
信仰の影響であることを、自覚している人がほとんどいないことだ。
 (中略)
 だから唐突だが、日本人は「有事立法」にも反対する。その内容などどうでもいい。
とにかく、「有事立法」そのものに反対するのだ。
この理由も、今回書いたことをよく読んで頂ければわかるはずだ。
「つぶされずに残っていて」「今の社会的選択に影響を与えている」もの、それが原因
なのである。』

 以上のように日本では有事立法を議論のまな板にのせる事すら反対なのである。これ
では日本の国を安全に導く事は誠に厳しい。今、日本国が維持できているのはアメリカ
の属国的な安保によってであり、平和憲法のせいでは決してない。「平和、平和」と唱
えていれば、「平和は保たれる」と考えるのは「ことだまの信仰」そのものであると思
う。
                                   おわり

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ おわり ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

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