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☆☆☆小豆島ドットコム週刊ウエブマガジン☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 | ◆目 次◆
1) 地区のスポーツ大会。
2) 母と娘と。
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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆2005/02/13号☆☆☆
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┃1 ┃ 地区のスポーツ大会。 ┃
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小豆島各地区では定期的に各種のスポーツ大会が催されています。先々週
の日曜日には池田地区の卓球大会がありました。先週の日曜日には小豆郡の
バドミントン大会があり、そして今週の日曜日(本日)は渕崎地区の卓球大
会が開催される。これから私も参加しに行って参ります。このように毎週ど
こかでいろんなスポーツ大会が催されています。あなたが住んでる地区では
いかがでしょうか? スポーツは勝ち負けだけが目的ではなく、ゲームを楽
しみながら、仕事をするために必要な体力というものを維持していくのが、
大きな目的ととらえています。仕事に差し支える程のめり込むのは本末転倒
ですので止めましょう。
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┃2 ┃ 母と娘と。 ┃
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十
佐一郎が応召してから三年目になる。たった一度軍事郵便がきたきり、ど
うしたわけか便りはなかった。
一しょに出征した人たちもみんなそうだということで、なんとか安心をみつ
け出そうとしても、そんなわけにはいかなかった。ことに、ぐっと年上の妻
である八重乃にとっては、心もとない日々であったにちがいない。たった一
人の子供である一郎を置いてまで、何かと理由をみつけて故郷の横浜へ帰っ
ていったのも、婚家では求められない空虚さを、ふるさとの風や、肉親のは
げましの中に見つけたい気もちもあったのだろうに、八重乃の希望はなかな
か達せられないばかりか、とうとう病気を背負いこんだりしてしまったらし
い。 一郎にあいたい。そのために小豆島へ帰りたいと、月に一度か三ヵ月
に二度ぐらいの便りをよせながら、なかなか戻ってこられないまま、一年二
年は走るように去った。四歳になった一郎など、もうめったに母のことを思
い出すこともないらしく、戦争ごっこに明けくれて、たくましく育っていた。
「ろくなものも食べないで、ようもこう達者に育ってくれるもんじゃのう」
時々訪ねてくるようになっている小はなは、いつも首をふって感心する。
「親は無うても、子は育つというが、このことじゃ」
そうはいっても、一郎や雪子の栄養源は、大かた小はなの、それとない心
づかいによっていた。雪子の性格を知っている小はなは、自分の畑でとれた
もののほかは、めったなことで、ただの物をもってきたりはしないが、闇で
買えば二十円もするという白米を、白分の手に入った原価だといっては、う
そのような安さで雪子に売りつけるのだった。それを梅家や∧キの仕立物の
払いの中から差引く、などといっては、雪子に文句を言わせない工夫をした。
それはまた、ぴんぴんと雪子の神経にこたえることもあったが、そんな神経
や潔癖さだけで、はげしい時代をくぐりぬけることのむずかしさを、雪子も
雪子なりに納得させられていた。もんぺ一式の時代に、仕立物といえばやは
りもんぺ類が多く、それはミシンで縫ったが、寒さに向うと、綿の入った丹
前や袢天の注文があった。田舎の女はみなそれを夜なべ仕事に縫うのだが、
梅家あたりの女たちは、小はなや∧キを通して、雪子のところへ集ってくる。
それが土蔵を貸してから目に見えてのことだった。戦争は日とともにはげし
くなっていても、宿屋や料理屋はそれほどの影響もないのか、また、戦時な
りに要求されるものがあるというのか、梅家だけでなく、ほかの料理屋など
もよくはやっているという噂を聞く。今どきそういうところへ出入り出来る
人間は、おのずと限られていたが、とにかく、食うものも着るものもろくろ
く手に入らぬ時代に、それのできる人間があり、母の小はななどもその中の
一人かと思うと、雪子はむっとすることもある。しかし、むっとなどしてい
ては、やっぱり世渡りは出来なかった。
−旧家の佐衛門を旧家らしく維持してゆこうなど、無理な相談なんだ。そ
の意味で、佐衛門を売り払って、ぶっこわそうとした佐一郎兄さんは、先見
の明があったのかな。……
そんなことを雪子は思ってみたりすることもあったが、すぐそのあとに冷
たい微笑が浮かぶ。あれは、破れかぶれかな。あとは野となれ山となれ。……
しかし、そんな空想は浮かんでも、その通りに思っているわけではなかっ
た。妻子を置いて、生きて帰れるかどうかわからぬ戦場へ出かけてゆくこと
が、ぜったいにさけることのできない男の運命だとしたら、せめてそれまで
を妻や子とともに、出来る限りの暮し方で過ごしたいのは、もっとものこと
だったかもしれない。だが、そうして佐衛門を食いつぶして、あとに残った
妻や子が、どうなると思っていたのだろう。
ここまでくると、雪子はやはり、兄の佐一郎の、気の弱い破れかぶれぶり
に抗いたくなる。どうせ佐衛門をなくする気なら、たこが足を一本ずつ食っ
てゆくようなやり方でなく、もっと佐衛門の男の子らしく、いさぎよく、消
えてなくなるような、 −つまり、桜の花の散るような、空しさでもよいか
ら、人々をあっと思わせるぐらいのことはしてもらいたかった。そして雪子
は、その、いさぎよさのようなものを、いつとはなく一郎に求めていた。
彼が近所の餓鬼大将であったからだ。 いつか波津が、「一郎は、佐太郎の
子供のときによう似とる。負けん気で、ちっとばっかり向うみずで、この調
子じゃあ、もっとしたら近所中から苦情ぜめに会おうことい」
それをさもうれしげにいった。口には出なかった佐一郎夫婦への不満が、
こうした言葉になったのだろうが、聞かされた雪子はそれがうれしく、
「私のお父さんて、子供のときにはそんなに活発な人だったの。うそみたい」
すると波津は、
「いいや、いいや」
とかぶりをふり、
「性悪で、がき大将で人気者じゃったがな。それだけに、気のあらいところ
もあってのう。おばあさんは毎日のように、どっかの子の家へ頭を下げに行
きよったがの。今に、そんな子になりそうじゃ」
「隔世遺伝かな。お嫂さん、相当の覚悟がいりそうよ」
まだ八重乃のいる時だったので、そんな話に落ちたのだったが、その八重
乃も、もう帰ってくるあてがなさそうに思えるような心細い手紙がつづき、
雪子は、結局、そんな役目も自分の領分になりそうな気がしていた。現にも
う、何度か、泣かせた子の家へあやまりにいったりもしている。相手が女の
子なら残り布でお手玉を作ってもっていったり、男の子なら、風車をやった
り、手先の器用な雪子のすることは、評判がよかった。そんな噂が耳に入る
と、小はなはひどくうれしいらしく、ちょいとのひまを見て佐衛門をのぞき、
「雪子、評判がええよ」
とほめる。しかし、そんなときの雪子は、小はながかわいそうなほど、笑
顔など見せない。いろんな事情がからまって、三日にあげず出入りはしてい
ても、母が佐衛門の人間ではないのだという思いだけは雪子の胸を去らない
でいた。時には母子らしい話をしながらも、雪子の思いは変らなかった。
だが、小はなの方は少しちがう。たとえ佐衛門を追われた身ではあっても、
追った張本人の波津はもう旦那寺の墓地にいるし、佐一郎の嫁の八重乃もず
っと姿を見せない。そして、広い佐衛門にいる雪子と一郎には、だれがなん
と言おうとも、自分の血が流れている娘や孫なのだ。そんなことがひところ
の小はなの胸を張った思いを忘れさせ、
「ここの奥さん、なかなか戻らんけど、どうしたんじゃろ」
立ち入ったことを聞こうとすると、雪子はぴしゃっと戸でも立てるように、
「ほっといて。ここのことなど、御心配なく」
「でも、一郎ちゃんが、かわいそうじゃないか。可愛くないのかね」
「それも、ほっといて、子の可愛くない親は、世間にあるじゃないの」
皮肉をいったが、小はなは通じないのか、それとも通じないふりなのか、
「でも、早う帰ってきてもらわんと、雪子だって、困るでないか」
「なにがよ」
「いつまで、ひとりでいるわけにもいくまいし、それに−」
「ほっといて。私のことは、私がひとりで考える」
子供が生みたいと、からだで叫んだことなど忘れたような静かな表情で、
雪子は小はなを見つめ、強い声で、
「私がものほしげなことを思っているとでも、思うの。阿呆らしい」
「でも、雪子」
「いえ、私は、私。ほっといて。とにかく、嫂さんが戻って来れば、一郎を
渡して、それから私は、私になるつもり。尼さんにでもなって−」
「雪子!」
小はなはいつになく強気で、
「じょうだんにも、ほどがあるよ。尼さんだなんぞと」
「いいから、ほっといて」
「いいえ、ほっとけん。なあ、ゆっくり相談というわけにもいかんほど、急
な話が、あるんよ。雪子を、お嫁に−」
「いや。ほっといて」
「そんなこと、いうもんでないよ。女の仕合わせなんてものはね」
「お母さん!」
雪子は小はなをにらみ、
「あんたに、女のしあわせなんか、聞きたくないの。帰って! そんな話なら
もう家へこないで」
すると小はなはぽろぽろと涙を流し、
「すまなんだね。ごめんよ」
あっさりと背を向けて、出ていった。後悔がおたがいの胸の奥でせめぎあ
ったにちがいないが、誰もそれをとり持ってくれる人はいない。ここに八重
乃でもいれば、八重乃ではなく、子供の一郎でもいれば、こうはこじれなか
ったかもしれないが、一郎は例によって、家を外の戦闘に忙しく、腹が減ら
ねば戻ってはこぬ。
こんな時に、八重乃の危篤が、電報で知らせてきた。− イチロウツレテ、
スグオイデマツ。…… 雪子は、はたと困ってしまった。こうなればやっぱ
り母に相談するしか道はない。一郎をつれて、母の家にゆきながら雪子は、
過去というものが、思いのままに忘れたり、都合よく思い出せたり出来るも
のならば、人間はもっと、仕合わせになれるのかもしれない。などと、勝手
なことを考えていた。
「ごめん下さい」
よそゆきの声でおとなうと、それでも母はすぐわかったらしく、玄関に走
り出してきて、
「あら、よくきてくれたね。ちょうどよかった。今、お茶をいれようって、
言ってたとこなの」
どうやら先客があるらしいとさとった雪子は、それがすぐ男の客であり、
もしかしたらこないだ母のもらした縁談の相手かもしれぬと直感した。
しかし、そんなことは心の隅っこにもない様子で、
「大変なの。ちょっと、相談にきたんだけど」
「だから、まあ、お上んなさいよ」
「それが、上ってもおれないの。これ」
電報をさし出すと、さすがに小はなもおどろきの声で、
「キトクって、じゃあ、やっぱり、ほんとにずっと、だいぶ悪かったのね」
まるで疑ってでもいたようなことをいう。こんなふうに言われると、すぐ
こだわりたくなる雪子も、今日はそれどころでなく、
「一郎つれて、いってこようと思うんですけど、その間、だれか留守番にき
てくれる人、いないかしら」
母にきてくれとたのむつもりが、こんなことになってしまうのを、雪子は
悲しいと思った。しかし母はすぐさとって、
「私でよければ」
「でも、忙しいんでしょ」
わざとらしいことを、また言ってしまった。しかし小はなは気にもせぬ
様子で、
「そのくらいのことお前。でも、適当な人がいればその方がいいかな。なに
しろ、人さまに貸してある部屋があるんだから、空っぽにはしておけないも
のね」
「そこなのよ」
「ああ、そうだ。菊二郎さんにでも、たのむか」
雪子は、自分でも思いがけなく、ぽっと赤くなりながら、それをごまかす
ように、
「じゃあ、とにかく、私、今夜の船で発ちます」
「汽車、大丈夫かね。子供づれで」
「大丈夫でなんかないでしょう。でも、この電報を見せ見せ、この子の父は
出征しています。その妻であるこの子の母が今危篤なんです。そういったら、
いくらお役人でも切符売ってくれると思うわ」
「でも、もっと、なんとか、道がつくかもしれないよ」
「まさか。軍人さんではあるまいし。だけど、とにかく私、家へ帰ります。
よかったらお母さん、一しょにきて手伝ってもらえない」
「いくよ。でも一足おくれていこう。いろいろ、都合つけて」
「そう。お願いします」
珍しく雪子は頭を下げた。旅費のはしから心配してもらわねばならないこ
とが、それをさせずにおかなかったのかもしれない。母の家を出ると、雪子
は、事態を知ってずっと黙りこくっている一郎に話しかけた。
「一郎ちゃん」
「ん?」
腰のあたりから、おとなしい返事が這い上ってきた。
「お母ちゃんとこにいけて、いいけどね」
「ん」
「一郎ちゃんの顔みたら、お母ちゃんうれしくて、病気なおるといいけどね」
「ん」
「お見舞いに、なにもっていく」
「……」
「ほら、あの花の、根、ほって持ってってあげよか。お母さん、あの花好き
だって、いってたじゃない」
「あ、赤い、おしたしの花?」
「そうそう。おしたしにして、たべたわね。おいしくなかったわね。でも、
今佐衛門に一ばんたくさんあるのは、あの花の咲く草ぐらいよ。藪(かぶ)
かんぞうって花。忘れ草ともいうのよ。お母さん、おぼえてるかな」
家へ帰ると、玄関の戸の隙間に一通の電報がさしはさまれていて、それは
八重乃の死を知らせたものだった。
「どうしたの」
と一郎に聞かれても、雪子は返事も出来ず、しばらく上りがまちに腰かけ
たまま、電報に見入っていた。
つづく
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ おわり ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
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